2008年2月13日水曜日

Strategy of Google

自宅のVAIOを起動したら,FirefoxとThunderbirdを立ち上げる.メールを読んで,ブログを書き,Mixiみたり訪問者を解析するレポートを確認してから電源を落として就寝.毎日こんなパターンが多い.ブラウザ起動時のホームページはGoogleのiGoogle.見たいニュースや天気予想をコンテンツに追加したページ.そしてブログもGoogleのblogspot.com.どっちも無料サービスだ.ふーん.Googleって,どうやってお金のやりくりしてるんだべか?ちっと調べてみた.

Googleは1998年,ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンという2人のスタンフォード大学院生によって設立された.Googleの開発したページランクテクノロジーは革新的だった.それまであったAlta VistaやInfoseekなどの検索エンジンをあっさり抜き去り,デファクトスタンダードの地位を占めるようになった.2000年にYahooが標準検索エンジンとしてGoogleを採用したことも大きな原動力になったと思う.でも,この時点では単なる優秀な検索ツールでしかなかった.つまり,黒字化できるようなビジネスじゃーなかった.実際,どしてもビジネスモデルを作り上げることができなくて,業界からそっぽを向かれ大型の契約もとれず,収入の道が見えないまま資本を食いつぶしていて,Yahooのような巨人に較べれば微々たる利益しか上げられていなかったという.技術は評価され,圧倒的に多くの人に使われてるけど,利益が出ない.当時のバナー広告は瀕死の状態だったからだ.1990年代半ばに登場したバナー広告は,広告が露出する期間に応じて料金を支払うという仕組みだった.だが,ウェブサイトの数が増加していくなかで,バナーの広告効果は下がり始め,クライアントからは疑問の声が上がるようになった.そこで,広告効果をわかりやすくするために,クリック保障型広告が生まれた.しかし,ユーザーのクリック率の低下は収まらず,結果としてバナーの広告単価がますます下落してしまうという悪循環に陥ってしまった.
原因は単純なことだった.バナー広告と提示先のサイトのコンテンツがあまりにも無関係だったからだ.自動車について書かれたウェブにオンラインカジノやポルノの広告が表示されたなら,クリックされないのは当然だったろう.

しかし,この悪循環はMagellanという人気検索エンジンを運営していたビル・クロスによって一変することになる.クロスはネットユーザーが入力した検索キーワードに連動したマッチング広告を検索結果ページに提示するという検索連動型広告モデルを作り上げた.この新しい広告モデルをビジネス化するため,後のOverture(現 Yahoo! Search Marketing)となるGoto.comを設立したが,クロスはこの検索連動型広告事業を他の検索エンジン企業へのOEMとして供給してしまった.この結果,Overtureは業界で一定の成功を収めたが,インターネット社会に大きな影響を与える存在までにはなれなかった.

GoogleはOvertureの検索連動型広告モデルを模倣し,“AdWords”というサービスを開始する.そして2000年から2002年にかけてYahoo!やAOLといった大手ポータルサイトと提携していく.そして,この検索エンジンは莫大なトラフィックを持つように成長していく.※後にGoogleはOvertureから特許権侵害で訴訟を起こされ,2004年特許のライセンスをOvertureに支払うことで和解して決着している.
2003年,Googleはさらに新しい広告プログラムである“AdSense”を投入.これは個人のウェブサイトに,そのサイトのコンテンツにマッチした広告を配信するといったもの.この広告でも,AdWordsと同じ規模の収益を上げるようになる.
Googleの2005年第3四半期決算は,売上高8億5888万7000ドルのうち,AdWordsとAdSenseが98%を占めている.

企業は収益源を確保しなければならない.1990年代のインターネット業界は“無料でサービスを開始して,市場シェアをガッチリ制覇してから有料化へ”という戦略が流行っていた.Googleは良質なトラフィックを巧みに利用して広告収入を上げ,その収益をベースに無料で新たなサービスを続々と投入していくという破壊的なビジネスを確立してしまった,と囁かれている.この先,一体どうなるんだろ?もしかしたら,今まで以上にパーソナルで,高度にオンライン化されたウェブ上の複合されたサービス(たとえばSaaSみたいに必要なとき必要なものだけ利用する)が存在する社会になるのかもしれない.

参考文献:“WEB2.0への道”2006年4月17日初版第4刷発行
発行:株式会社インプレスR&D

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