2007年9月11日火曜日

Episode 4 - Younger brother

ぼくの爺ちゃんは,激めんとサントリーホワイトが大好きな老人だ.普段は寡黙だが,酒が入ると結構口が滑らかになる.その時の口癖は“簡単,簡単”いつだったか,近所の家で居眠りしておねしょしちゃったときは,ぼくが迎えにこないと帰らない,と駄々を捏ねて周りを困らせたりしていた.そんなわけで,近所ではぼくと爺ちゃんの関係は“兄弟(ぼくが兄)”と呼ばれていた.

そんな爺ちゃんと2人で火曜日の深夜のフィーリングカップル5VS5を見ていたら,爺ちゃんが自分の子供のことを話し出した.昔,最初の方に出来た赤ちゃんの容体が急変したため,抱き抱えて家の前の砂浜を走っていたんだけど,気が付いたら抱いていた赤ちゃんが真っ青ですごく冷たかったんだ,もうそこで歩けなくなって,暫くその場所にいたんだ,って言ってた.

それから2年後のある朝,上京したぼくのアパートで弟の訃報を知らせる電話が鳴った.そして,息を引き取る前夜,ぼくに逢いたいと泣きながら駄々を捏ねていたことを後で知ったんだ.

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